元CIA職員でベテラン尋問官と元敏腕職員による嘘の見抜き方の本(邦題:元CIAが教える嘘の見抜き方)。嘘発見器で使用する質問のフレームワークを機械なしで使用できるよう転用している。海外では相当有名な本らしく、アマゾンUSAではレビューが500を超えている。一方日本ではタイトルと普及させる上でのマーケティングが下手だったのかレビューが4つしかついていない。虚実を見分けるという考え方が海外と日本で異なるのも大きな要因かもしれない。日本人の美徳は人を疑わないことに根差しているものが多いからな。
感想
今年は心理学関連で良書に出くわす機会が多い。非言語的コミュニケーションの体系、WHAT EVERY BODY IS SAYING、表情分析学のポール・エクマン関連の書籍、コールドリーディング。大脳生理学や精神分析学を前提にしたトラウマ学の良著、体はトラウマを記録する。脳と体がいかに密接に結びつくかを多角的に解説した脳の中の天使。結局すべての学問は繋がっている。本質にあるのは人の心であって、脳だ。脳になだれ込む現実の情報を人はどのように解釈し、アウトプットしていくのか。そのインプットとアウトプットに虚実はあるのか。考えていることと言っていることに差異はないのか。真実はどこにあるのか。
この本は嘘をつく人間の特徴や傾向、それをあぶりだすための質問など、かなり踏み込んだ内容を体系的に描いている。Lの二乗モード、欺瞞行動、言葉、怒り、正当化。。。ただし単体ではあまり役に立たないだろう。著者ですら嘘を見抜くプロでさえその嘘の判定に対する正確性というのはせいぜい60%程度と述べている。この本に書かれている分析対象者の注視すべき動向や回答を引き出すよう効率的に構築された質問内容、それを駆使した上で、色々な分野の理論フィルターを複合的に利用すればよい。株のチャート理論でも、単体のツールを使うだけの分析する人はいないだろう。適時状況に合わせたフレームを用いることだ。
習慣が人をつくる。本来人を疑って生きていくよりも、出来る限り人間の本性を信じて生きていく方が、幸せであれるかもしれない。
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