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概説
46億年の歴史ある地球で、生命が誕生したのは約40億年前。現在、地球上の生物は約870万種にものぼると言われている。永い歴史の中で、繁栄する種もあれば、消えていく種もあった。その中で人類の祖先、猿人が生まれたのは700万年前。地球の歴史を365日であらわせば、12月31日の出来事。他の生物たちに比べ人類は若く、生き方も定まっていない。
では、他の生き物たちはどのように生きてきたのか、我々はどう生きれば良いのか。20種類の動物の生態から戦略と習慣を抽出した本。
ペンギン
・蹴落とした仲間が運悪くシャチなどに食べられたときも氷上で待ち続け、しばらくしてからもう一匹蹴り落して様子を見る(ファースト・ペンギン)
・寿命は長く、飼育下では40年近く生きる
・人間でいうとつま先立ちで空気イスをしているような態勢をとっているので本当は足が長い
・毎年同じ相手とつがう(雄同士でも)
・ペンギンの口の中はとげだらけ
・子が死ぬとほかのペンギンからタマゴを奪う
・求愛行動は恍惚のディスプレイ
・120日の間飲まず食わずで子を育てる
ライオン
・狩りは主にメスが行う。成功率は20%程度。個体での狩りも群れでの狩りも成功率は変わらない。
・雄は雌が狩ってきた獲物を一番に食べる。睡眠時間は20時間。
・雄は成長するとプライド(育った群れ)を追い出され、単体、兄弟数頭で獲物を狩って暮らす。
・メスがオスを評価する基準は鬣
・プライドを維持できるのは3~4年。群れを乗っ取られると子を殺される
・木天蓼を与えると骨抜きになる
・オスはほとんど仕事をしないが、他のオスからプライドを守る
・草食動物の内臓を食べることで食物繊維をとる
パンダ
・異性に対する激しいえり好みがある。オス同士がメスをめぐって戦っても、メスが気に入らねば交配が出来ない。
・大気汚染された笹を食べない
・1年に数日という限られた期間にのみ発情期がある
・ベイビースキーマゆえに得をしている
・木に登るのは得意だが、おりるのは苦手でよく落ちる
・パンダに性教育をするビデオがある
・レンタル料は年間一億
・模様がはっきりしていて耳と顔が丸いものが美人
猫
・世界的な飼育頭数では犬を圧倒し、2億400万匹。
・眼をじっと見つめてくる行動は「こいつには勝てる」という意味がある
・勝てないと悟った相手には目をそらす
・人に体をこすりつける行動はなわばりの主張行為
・仮をした獲物をもってくるのは無力な飼い主に分け前を与え、狩りを教える行為
・熱いものが苦手な人を猫舌というが、猫が温度を感じるのは鼻
・猫を飼うと高血圧、心臓麻痺、脳卒中、骨折などのリスクが低減する
・アラスカには15年もの間視聴を務めている猫がいる
・猫好きのエジプト軍に対抗するため、ペルシャ軍が猫のついた盾を用いたところ、圧勝した。
キリン
・血統が重視されるため、安価な個体は350万円ほどで買える
・睡眠時間は20分。完全に眠っている時間は1~3分
・角は5本ある
・キリンの血圧は人間の2倍あり、その独自の血圧システムは宇宙服に応用されている
・8割程度が雄同士で交尾する
・サバンナでも最強の生物の一角にあたる
・鳴き声はモー
ミツバチ
・働きバチはすべてメス。巣作り、幼虫や女王の世話、エサ集め、兵隊など、すべて女王蜂以外のメスが受け持っている。
・1つの巣には1匹の女王蜂と100~2500匹ほどのオスバチがおり、働きバチは3万~6万匹存在する。
・女王蜂と交尾したオスは生殖器が破裂し、死ぬ
・よく働く蜂と働かない蜂がおり、それぞれ群れの維持に役立っている
・働くミツバチは寿命が極端に短い
・ミツバチが一生かかって集めるはちみつはティースプーン1杯ほど
・労働時間は繁忙期で1日6時間
・女王鉢の寿命は働きバチの20倍、大きさは2倍。もともとは同じ幼虫。ローヤルゼリーだけで育てられた幼虫のみが女王蜂になる資質を得る(李斯とネズミの逸話と似ている)
ハダカデバネズミ
・1匹の女王のみが子供を残す真社会性
・働き者と怠け者の2種類が存在
・デバネズミは女王の尿によって生殖が抑制されているが離れれば生殖も可能。働かないグループは新たな群れをつくることができる
ラッコ
・お気に入りの石をなくしてしまうと食事もとらないほど落ち込む
・ウニやアワビなどを食べるので一匹の飼育に年間500万円がかかる
・川に進出したイタチがカワウソ、海に進出したイタチがラッコ
カピパラ
・きわめて温厚
・赤ちゃんの面倒を見るのは父親
・ベネズエラでは食用になっており、マクドナルドのハンバーガーに使用
ゾウ
・オスにはマストと呼ばれる発情期があり、男性ホルモンが通常の20倍ほど分泌される
・非常に賢く、死を認識し、仲間の葬式をあげるゾウもいる
・飼育係はゾウの前ではどんな人の前でも敬語を使わない。雰囲気で上下関係を像が察するため
・飼育に莫大な費用がかかるので、タイの王は昔敵に白いゾウを贈った
・臭覚は犬の2倍
リス
・猫に育てられたリスは自分の事を猫だと思い込む
・冬眠することで寿命を通常の3倍以上に伸ばす
・地球環境の緑化に貢献している。埋めたまま忘れた木の実が発芽。キノコの胞子の拡散
イルカ
・フグ毒で薬物中毒のような状態になる
・脳を半分ずつ眠らせるので泳ぎながら寝ることが出来る
・異なる場所に住むイルカ同氏は泣き声に方言がある
・いじめが存在する
ウシ
・群れで行動し、リーダーの元明確な順位付けのあるたて社会で生活
・親友が存在する。友がいることでストレスが減り、いなくなることで互いに弱る
・睡眠時間は3時間程度
・闘牛で使われる布が赤いのは、ウシではなく観客を興奮させるため
・外国で生まれ育っても日本で3か月飼育すると国産牛として表示できる
タコ
・天敵に食べられた足は再生するが、ストレスを感じて自分で食べた足は再生せず、死に至る
・心臓が三つある
・環境により多様な特性を持つ、知能が高い
・オスよりメスの方が大きい
・自分の体には吸盤がつかない
ラーテル
・ミツオシエと相利共生関係にある(テッポウエビとハゼ。アブラムシと蟻。)
・裏返されると弱い
・ライオンを迎撃できるタフさと勇猛さ
ナマケモノ
・時速160m
・食事は1日に葉っぱ8g。消化が16日程度かかるので餓死する例もある
・動きすぎると熱が出て死にいたるので、敵が襲い掛かってきても抵抗しない
・動かな過ぎて体に苔が生える
・筋肉がなさ過ぎて動けない
ゴリラ
・握力600kg
・争う前にドラミングで威嚇を行う。物理的な戦いに向かうことはあまりない
・一夫多妻制
・類人猿の中で睾丸が最も小さい。乱婚型のチンパンジーはゴリラの100倍交尾を行う
・父親は子育てを行い、子も終生敬意を払う
・ゴリラは全員B型
・ゴリラの糞投げは求愛行動
ダンゴムシ
・交替性転向反応。おなじ轍は踏まない
・甲殻類である
・明治時代に外国からきた貨物に紛れて日本にやってきて爆発的に広まった
イヌ
・犬と飼い主が見つめ合うと、両者ともにオキシトシンと呼ばれる愛情や絆の形成に関係するホルモンが上昇する
・中世ヨーロッパの貴婦人が犬を連れて歩く理由はおならを犬の性にするためだった
・犬も猫舌
カンガルー
・骨格の関係で前にしか進めない
・袋の中にいる子供の異常に気付くと、子供を放置して新しい子供を産む
先輩
地球における生命史において、人類の歴史というものは非常に短い。365日を40億年にわたる生命の物語だとするならば、人が歩き出したのは12月31日の終わりころでしかない。我々よりもはるか長い間この惑星で生き延びてきたモノは多々存在する。では一体彼らがどのような生存戦略をとってきたのかということ。
他の種族と戦略的互恵関係を構築する相利共生や片利共生。有性生殖の中でもクイーンを主にした真社会性のセックスや、一夫多妻制、多夫多妻制のコミュニティ。百花繚乱、めまぐるしく多様な形態が存在している。
彼らの生き方は生存戦略の生き字引であって、生半可な経営学書よりもはるかに参考になる。
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