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概要
異性に対して燃え上がった感情が、運命だと思えるようなそのフィーリングが、自らを不幸にさせる。
対象に対して心が熱を持ちすぎ、全身の神経を焦がし、心をくたくたに消耗させる。
そんな時が人にはあるのではないだろうか。
結局その原因は相手が何を考えているのかよくわからないことに起因している。
自分のことを嫌っているのではないか、他の男に流れているのではないか。様々な雑念が脳内を去来し、ネガティブな想像が容易に去らない場合もあるだろう。
だが、もし相手のその心のありようがわかったならどうだろうか。付き合う前も、付き合った後も、心の底から安心できる理想のパートナーシップを構築できるのではないだろうか。この本の著者はそんな人の色眼鏡をはずし、正確に物事を把握するための理論的レンズを提供している。
3つの愛情タイプ
著者はアタッチメント理論(愛情表現に関する理論)、アタッチメント行動(愛情の対象を自分に引き寄せるための行動)から人の愛情に対する捉え方、アウトプットの仕方を3つに分類している。(恋愛関係において、私たちはロボットのようにあらかじめ決められた行動をするようにプログラムされている。)
※愛情タイプの診断シートは本中にあり。
Sタイプ(安定型)の人にとって、相手と親密になることは自然なこと。また、このタイプの人は温かく愛情深い人柄の人が多い。
Sタイプ(安定型)は、パートナーに対して自然に愛情を表現できるタイプです。いろいろなことを心配せずに、相手と深い結びつきを築くことができます。感情の波も穏やかなほうで、こと恋愛に関してはどっしりと構えているといえるでしょう。自分のニーズや感情も素直に表現し、だいたいにおいて、相手の気分を読み取って適切な反応をすることができる。生活のなかで、うまくいっていることや困っていることを相手と共有するのは自然なことで、必要な時には相手の支えになることもできる。
Nタイプ(不安型)の人にとっては、パートナーとの親密さはなくてはならないもので、時には相手に夢中になりすぎたり、相手が愛してくれないのではないかと不安にさいなまれたりする。
Nタイプ(不安型)の人にとっては、相手と繋がっていると感じることがとても大事。だが、それが高じて相手は自分ほどは思ってくれていないのではないかと不安になることもしばしば。恋人ができると、それが生活の最優先事項になり、相手との関係についてあれこれ考えをめぐらす。相手の言動や気分にとても敏感で、いろいろなことによく気が付く一方、なんでも「自分のせい」だと考えてしまう傾向がある。嫉妬などのネガティブな感情に悩まされたり、怒りっぽくなったりする。そのため喧嘩をふっかけたり、後悔するような言動をしてしまうことも。パートナーがそれを理解して、常に「ふたりの関係は大丈夫だよ」と安心させてくれれば、あまり心配しすぎることなく、よい関係を築くことができる。
Vタイプ(回避型)の人にとっては、親密さは自由の喪失を意味するので、交際している相手がいても、常に距離を置こうとする。
Vタイプ(回避型)は、自分の自由な時間が何よりも大切で、独立心が強いタイプ。他人と親密な関係を築きたいとは思っているが、実際にパートナーが「もっと一緒の時間を過ごしたい」と言ってきた李すると、息が詰まるように感じる。相手に振られたらどうしようと思い悩むこともない。また自分の問題をパートナーに話したりすることもないので、パートナーから「距離をおいている」と責められることも。相手が自分の領域に入ってきたり、自分をコントロールしようとしていないか、常に目を光らせているともいえる。
人は幼児のまま
上記の分類というのは大人にも子供にもあてはまるようだ。というのもアタッチメントというものは幼児の頃に親との関係性の中で確立されるものらしい。愛情を豊かに注がれた子供はSタイプとなり、仕事か何かの影響で両親のまだらな愛情が注がれて不安感の中で育った人はN。NタイプやSタイプとは違う独特の距離感で育てられた子はVタイプになる。
三つ子の魂百までというが、人はその幼少期に確立された愛情表現、受け取り方を、後々までひきづっていく。
相性
NタイプはVタイプの人とひかれあうが、相性が悪い。Nタイプの接近ストラテジーがVタイプを刺激し、逃げる。逃げることでNタイプはプロテスト行動をさらに続け、不安定な状況へ落ちていく。愛情ではなく、思い込みの分野。安定型との相性が最も良いが、刺激を感じないため、その魅力に気づかないことが多い。
Vタイプ。常に自立した態度を取り続ける。離別ストラテジーを使い相手と距離を置こうとするので、人を幸せにすることがない。相手の欠点に目をつぶり、自分の弱さを共有することで道は開かれる。
Sタイプ。どの型でも安定して付き合える。自分がハッピーになるにはどうしたらいいのかを考えることが重要。
プロテスト行動
関係が脅かされたと感じたときにとるふるまい。幼児にも大人にも見られる行動。
アタッチメント・システム
アタッチメント・システムとは、自分が安全で、パートナーが自分を助けられる状態にあるかどうかを常にモニターする、脳のメカニズム。Nタイプの人間が抜きんでて繊細。このシステムがオンになるとパートナーとの親密さを取り戻すために、いろいろなことを思いつく。そうして出て来る思考を接近ストラテジー(対義語:離別ストラテジー)という。Nタイプは相手をほんろう、嫉妬させることなどで気を引こうとするがVタイプは距離を取り、逃げる。
興味深い事例
1:ジェームス・コーン博士がバージニア大学で行ったリサーチがある。被験者の女性に「これから弱い電気ショックを与える」という説明をし、説明の時に感じるストレスの大きさをMRIを使って観察するというもの。
最初にこの説明を一人で聞いた女性は大きなストレスを視床下部に感じていた。次に女性が赤の他人と手をつないだ状態で説明を聞いたときにも、視床下部は光ったが、活動レベルは停滞した。
そして、手をつないでいる相手が配偶者だった時は、ほとんどストレスを感じなかった。
生理学的にヒトは繋がっているという話。
2:結婚生活への不満や仕事のストレスが、血圧にどう影響するかを調べた研究。その結果、高血圧でも結婚生活に満足している人は、パートナーと共に時間を過ごすことによって、血圧を健康なレベルまで下げることができた。一方結婚生活に不満がある人は、その相手と一緒の空間にいるだけで、血圧はさらに上がってしまう。
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