守屋洋とは?

中国古典の大家。孫子や呉子などの武経七書や論語や孟子など儒教4書、帝王学のバイブルとして知られる貞観政要などなど…人口に膾炙する多数の中国古典を翻訳し、それらの知見をベースにビジネス書なども出版している。

孫子とは何か?

『孫子』(そんし)は、紀元前500年ごろの中国春秋時代の軍事思想家孫武の作とされる兵法書。武経七書の一つ。古今東西の兵法書のうち最も著名なものの一つである。紀元前5世紀中頃から紀元前4世紀中頃あたりに成立したと推定されている。
『孫子』以前は、戦争の勝敗は天運に左右されるという考え方が強かった[1]。孫武は戦争の記録を分析・研究し、勝敗は運ではなく人為によることを知り、勝利を得るための指針を理論化して、本書で後世に残そうとした。

引用元:ja.wikipedia.org

どのような本か

2500年前から読み継がれてきた現存する世界最古の元祖戦略本。孫子の原著は世界中に翻訳され、各国の英雄らが愛読している。例えば孫子にある風林火山を旗印に掲げた甲斐の虎武田信玄、信長や家康はもちろん、三国志魏の建国者曹操、神算鬼謀の軍師諸葛孔明、西洋ではフランスの軍神ナポレオンや戦争論のクラウゼヴィッツ、マイクロソフトのビルゲイツなどなどそうそうたる人物が座右の書としてきた。
その孫子を中国古典の大家、守屋洋が古今東西の事例を織り交ぜながら孫子を解説。原典に書かれた金科玉条を過去の英雄たちはいかに実践してきたのがそれがまるわかり。未読の方は原典だけ読むよりもこちらを読んだ方が孫子の伝えたいことがいったいどのようなことなのかがよくわかると思う。

感想

元祖戦略本にして、戦略、人間のゆるがぬ本質をとらえた戦略論の聖書のような一冊。
ヒト・モノ・金・情報・時間、様々なものは有限だが、戦略的に目的を達成するにはどうすればよいのか、その基本的な考え方を教えてくれる。

孫子の要点

1:戦争を正確に指導し、勝利を勝ち取る第一の鍵は、「彼を知り己を知る」ことにある。彼我の戦力を検討した上で、勝算があれば戦い、勝算がなければ戦うべきではない。
2:第二の鍵は、主導権を奪取すること。つまり、「人を致して人に致されず」を心がける。そのためには、相手の兵力を分散して守勢に追い込み、そのうえで、「実を避けて虚を撃つ」ことをかんがえなければならない。
3:「その無備を攻め、その不意に出ず」ることも、勝利を得る重要な条件となる。戦争はしょせん、だまし合いである。したがって、いかに敵の目をくらますかが、重視されなければならない。
4:戦いは「正を以って合し、奇を以って勝つ」。つまり、正と奇の二つの作戦を組みあ合わせ、奇によって勝利を収める。そのためには、「迂直の計」に熟達していなければならない。
5:守勢のときには、じっと鳴りをひそめ、攻勢のときには、いっきにたたみかける。つまり、「その疾きこと風のごとく、その徐かなること林のごとく」、「始めは処女のごとく、後には脱兎のごとし」でなければならない。
6:兵力に応じた戦い方を心がける。つまり、十倍の兵力なら包囲し、五倍の兵力なら攻撃し、二倍の兵力なら分断し、互角の兵力なら勇戦し、劣勢の兵力なら退却し、勝算がなければ戦わない。
7:「兵の形は水に象る」。つまり、兵力の分散と集中に注意し、たえず敵の状況に対応して変化しなければならない。

英雄たちには策があった。直接彼らが考え起こしたものでなく、軍師が立案してあったものであれ、同様である。
限られた人、もの、金、情報、時間のなかで目的を阻むものを的確に取り除き、対処していったのだ。

孫子の中でも最も名言だと思うのが、「戦わずして勝つ」という言葉だと思う。
司馬仲達や秀吉は武力の行使を政治の延長上としてしかとらえていなかった。政治的寝技で戦わずに敵を屈する達人だったともいえる。
司馬懿の場合、諸葛孔明で五丈原で対峙した際、諸葛孔明が率いる軍の弱点が兵站にあることを見抜き、防備を徹底してかため、敵の挑発に一切のらなかった。
結果孔明は陣中で病に倒れ、撤退する。
本邦の秀吉も中国攻略の際水攻めや兵糧攻め、謀略や外交など、戦わずしてあいてをてなずけ、降伏させた。後に最大のライバルとなる家康でさえ、天才的な外交交渉で臣従させた。

戦いに勝つことばかりを考えると視野が狭くなる。
戦いに勝つことではなく目的を達成すること、それこそが重要なのだなと改めて思う今日この頃。
時々見返すとどの章でも新たな発見があり、孫子の人間洞察の深さに、底知れぬ畏敬の念に似たものを抱くのだ。

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本郷航

代表取締役社長/CEOG2株式会社
G2株式会社代表取締役社長。 司馬遼太郎が描いた偉人達、北方謙三らが描いた熱い英雄たちの物語に影響を受け、高校在学中から起業を志す。 大学在学中からさまざまなビジネスに手を出し、株式投資も並行して行う。その後海外向けの高級ガジェット専門店を立ち上げ、売却。 有田焼ギフト専門店(ジェイトピア)を創立。 あらゆる業界人が焼き物を決してネットで売ることはできないと断定する中、業界を代表するECプラットフォームを構築。新垣結衣、櫻井翔主演のドラマ等のスポンサーも。 ネット社会において、本来ブランド力や技術のあるサービス、物などのブランディング、マーケティングによる価値創出を理念とする。