ユング、フロイトに並び称される世界3大心理学者の一人、アドラー。

正直そういったアドラーという心理学者が誰か存じなかった。

経営学の分野ではマズローの欲求五階層説などよく聞く話だし、SF作家の筒井康隆などもよくフロイトの心理学に影響を受けた考えを小説に取り入れている。

その周辺から心理学の基本的な本を読み漁っていたつもりだったが、概念に触れることはあっても、無意識に著者の名前を読み飛ばしていたのかもしれない。

この本のタイトルは嫌われる勇気だが、自分が変わることに躊躇している人、もしくは劣等感の強く人生に問題が生じている人が読むといいと思う。心理学の本ではあるけれども、自己啓発の側面が強いと感じた。

 

備忘録:三大心理学者

アルフレッド・アドラー:フロイトが主宰するウィーン精神分析協会の中核メンバーとして活躍(フロイトとは師弟でなく対等な研究者の関係)。後、学説上の対立からたもとを分かち、独自の理論に基づく「個人心理学」を提唱する。人間の隠し持った目的に着目。

フロイト:精神分析の創始者、無意識の中に抑圧された欲求に注目(リビドー、トラウマ)

ユング:人間の隠し持つ集合的無意識に着眼。

※アドラーは身長が155cmほどで、当時のヨーロッパの平均身長cmから見ても低い部類だった。そのせいで強い劣等感にさいなまれることがあったようで、そこを源流として彼の研究の核があるようだ。

アドラーの考え:低身長だから自分は劣っている→あと10~20cm高さがあれば。。→いや、お前には才能がある。小柄だからこそ相手も警戒心を解き、場の雰囲気を良くできる特性があるのだ。

 

コンプレックスの種類

コンプレックス:上記※の例。劣等感を健全な努力と成長への刺激に用いることが出来る。

劣等コンプレックス:自らの劣等感をある種の言い訳に使い始めた状態。みせかけの因果律をつくり、そこにあたかも重大な因果関係があるかのように自己説得し、納得する。

AだからBできない。→Aさえなければ、わたしは有能であるから価値があるのだ。

優越コンプレックス:あたかも自分が優れているかのようにふるまい、偽りの優越感に浸る。もし自慢する人がいるとすれば、それは劣等感の裏返し。

特例:不幸自慢。自らの不幸の大きさで自分の優越感を主張し、自らのそれを武器に、相手を支配しようとする傾向。

 

 

過去の原因ではなく、いまの目的を考える(アドラー心理学の目的論)

人は変われる、世界はシンプルである、誰でも幸せになれる。

人は客観的な世界に住んでいるのではなく、主観的な世界に住んでいる。

物事の価値は、自分がそれにどのような意味づけを施し、価値を与えるかによって決定する。

 

例:何かがが原因で部屋の外に出たくない人の場合。

外に出たくないから、不安という感情をつくり出している。外に出ないという”目的”が先にあって、その目的を達成する手段として、不安や恐怖といった感情をこしらえている。

ではなぜ外に出たくないのか?

外に出ることなく自室に引きこもれば親が心配する。親の注目を集めることができる。腫れ物に触るように丁重に扱われる。

外から出た場合、誰からも注目されない「その他大勢」に分類される。見知らぬ人々に囲まれ、凡庸なるわたし、あるいは他社より見劣りしたわたしになってしまう。そして誰もわたしを大切に扱ってくれなくなる。

 

-あなたが短所ばかりに目を向けるのは、自分を好きにならないでおこうと、決心しているからです。

 

-赤面症の女性。人前に出ると赤面する、それを治したい。「もし仮に赤面症が治ったらあなたは何をしたいか?」

ひそかに思いを寄せつつも、まだ気持ちを打ち明けられない男性がいる。治ったら告白してお付き合いをしたい。↓

赤面という症状を無意識に必要としている。赤面症が治ればわたしだって、、、という可能性の中に生きられる。(踏み出し、本当の目的に近づくには”勇気”が必要)

他社との関係の中で傷つかないことを目的にしている

-他者への貢献という導きの星を目指し続ける限り、自由。他者の評価でなく、己の基準で決める。過去や未来は現在へあたる強烈なスポットライトでよく見えない、その星を見失わず。今を生きること。

 

 

思ったこと:アドラー心理学に底流しているものは、人は自分で無意識に物事に意味づけをして、複雑に考えることで

何が目的なのかを忘れてしまうということを言いたいんじゃないだろうか。(無意識下の目的を探ることで自分の心理分析だけでなく、他者が何を考えているか深いところから考えることができる。)

アドラーがいうのはすべての問題は人間関係の中で自分が傷つかないように無意識に目的をすり替えて行動しているから発生する。

シンプルに言えば、目的(幸せになりたい、じゃあどうするの?)を定めれば、瑣末なことはどうでもよくなるし、苦しみも減る。

もし苦しいならば苦しい事柄を自分が選んでいるといことだ。

 

人は変われる

すべての反応や行動は自分の経験から何かしら意味づけをしている。

その呪縛を解き放ち、”目的””理想のあるべき姿”から考える。

自分や運命が変えられないのではなく、変わらないことを選択している。

幸せになりたいならば、幸せになる勇気が必要。

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本郷航

代表取締役社長/CEOG2株式会社
G2株式会社代表取締役社長。 司馬遼太郎が描いた偉人達、北方謙三らが描いた熱い英雄たちの物語に影響を受け、高校在学中から起業を志す。 大学在学中からさまざまなビジネスに手を出し、株式投資も並行して行う。その後海外向けの高級ガジェット専門店を立ち上げ、売却。 有田焼ギフト専門店(ジェイトピア)を創立。 あらゆる業界人が焼き物を決してネットで売ることはできないと断定する中、業界を代表するECプラットフォームを構築。新垣結衣、櫻井翔主演のドラマ等のスポンサーも。 ネット社会において、本来ブランド力や技術のあるサービス、物などのブランディング、マーケティングによる価値創出を理念とする。