売れるもマーケ 当たるもマーケ―マーケティング22の法則

概説

マーケティングの古典。平易な文体だが本質を掴んでおり、事業の全体を考える際、自分の視野が部分的になっていないかの確認に使える。要するに鋭利なターゲッティング、ぶっちぎりのポジショニング、圧倒的イメージをつくりあげること。平らでいるな、とがること。断トツで切れ味のいい、顧客の知覚を左右する強烈なイメージを。細分化されたカテゴリーで飛びぬけた一番を目指す、ランチェスター戦略に通じる話が多いように思える。
なんにせよデータ偏重の凝り固まった頭に、強烈な本質論の一撃を加えてくれる。発想がつまらないものに墜ちているなと感じたときに見直してもいいかもしれない。

22の法則

一番手の法則(一番手になることは、ベターであることに優る)
マーケティングの基本的な課題は、先頭を切れる分野を創造すること。1番手のイメージは2番手のイメージに先行する。
大西洋を最初に単独で横断飛行した人物の名前は、チャールズ・リンドバーグ。2番手はバート・ヒンクラー。アメリカで最初に設立された大学はハーバード。2番目に設立された大学は、ウィリアム・アンド・メリー大学。月に最初の第一歩をしるした人物はニール・アームストロング。初代アメリカ大統領はジョージ・ワシントン。

カテゴリーの法則(あるカテゴリーで一番手になれない場合には、一番手になれる新しいカテゴリーを作れ)
あるカテゴリーで一番手になれない時は、一番手になれるカテゴリーをこしらえよ、という原則。
大西洋を単独飛行で横断した三番手の人間はアメリア・エアハート。横断に成功した初めての女性。

心の法則(市場に最初に参入するより、顧客の心の中に最初に入る方がベターである。)
市場に最初に参入するよりも、顧客の心に最初に入り込む方がベター。マーケティングは知覚をめぐる戦い。

知覚の法則(マーケティングとは商品の戦いではなく、知覚の戦いである。)
マーケティングの世界に存在するのは、ただ、顧客や見込み客の心の中にある知覚だけである。知覚こそ現実であり、その他のものはすべて幻である。

集中の法則(マーケティングにおける最も強力なコンセプトは、見込み客の心の中に一つの言葉を植え付ける
ただ一つの言葉、ないしはコンセプトに焦点を絞り込むことによって、心の中にそれを”焼き付ける”のである。これこそ究極のマーケティングにおける供え物だ(イメージが取り扱う商品にもハロー効果をもたらす)。
フェデックスは「翌日配送」。ハインツはどろりとしたケチャップ。ボルボ社は安全性。

独占の法則(二つの会社が顧客の心の中に同じ言葉を植え付けることは出来ない。)
集中の法則を用いて顧客の心に1つの言葉を植え付けたとしても、2つめの心を強く印象付けることはできない。

梯子の法則(採用すべき戦略は、あなたが梯子のどの段にいるかによって決まる。)
人は心の中で商品やブランドに対する無意識、または意識的な序列付けを行っている。この順列・順序で、それぞれの商品やブランドの位置関係を、梯子を想像することで明確にしようとすること。

二極分化の法則(長期的に見れば、あらゆる市場は二頭の馬の競走馬になる。)

対立の法則(ナンバーツーの座を狙っているときの戦略は、ナンバーワンの在り方によって決まる。)

分割の法則(時の経過とともに、一つのカテゴリーは分割し、2つ以上のカテゴリーに分かれていく。)

遠近関係の法則(マーケティングの効果は、長い時間を経てから現れる。)

製品ライン拡張の法則(ブランドの権威を拡げたいという抗しがたい圧力が存在する。)

犠牲の法則(何かを得るためには、何かを犠牲にしなければならない。)

属性の法則(あらゆる属性には、それとは正反対の、優れた属性があるものだ。)

正直の法則(あなたが自分のネガティブな面を認めたら、顧客はあなたにポジティブな評価を与えてくれる。)

一撃の法則(各々の状況においては、ただ一つの動きが重大な結果を生む。)

予測不能の法則(自分で競合相手のプランを作成したのでない限り、あなたが将来を予測することはできない)

成功の法則(成功はしばしば傲慢につながり、傲慢は失敗につながる。)

失敗の法則(失敗は予期することもできるし、また受け入れることもできる。)

パブリシティの法則(実態は、マスコミに現れる姿とは逆である場合が多い。)

成長促進の法則(成功するマーケティング計画は、一時的流行現象でなくトレンドの上に)

財源の法則(しかるべき資金があることでアイディアを実現化できる。)

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本郷航

代表取締役社長/CEOG2株式会社
G2株式会社代表取締役社長。 司馬遼太郎が描いた偉人達、北方謙三らが描いた熱い英雄たちの物語に影響を受け、高校在学中から起業を志す。 大学在学中からさまざまなビジネスに手を出し、株式投資も並行して行う。その後海外向けの高級ガジェット専門店を立ち上げ、売却。 有田焼ギフト専門店(ジェイトピア)を創立。 あらゆる業界人が焼き物を決してネットで売ることはできないと断定する中、業界を代表するECプラットフォームを構築。新垣結衣、櫻井翔主演のドラマ等のスポンサーも。 ネット社会において、本来ブランド力や技術のあるサービス、物などのブランディング、マーケティングによる価値創出を理念とする。