友達の数は何人―ダンバー数とつながりの進化心理学

概説
人とのつながりは<脳と進化>のフィルタを通すことで可視化できる。ダンバー数(人間にとって、平均約150人(100-230人)が「それぞれと安定した関係を維持できる個体数の認知的上限)の定式化で知られる著者が描く一冊。人は何故恋をするのか。脳の使い方や大きさ、体に性差を持つのか。他者とのつながりの中で生きていく必要があるのか。様々な疑問に対して進化心理学の観点から答えている。
話は雑学ちっくで興味深いものが多いのだが、そもそもが雑誌の連載をまとめた本らしくまとまりにかける。理論の体系を学ぶための本というよりかは、進化心理学に興味を持った一般人のためのエッセイに近い。
人
脳の性差:乱婚型の生物よりも、一夫一妻制の生き物の方が脳の容積が大きい。人間の男は一般に三原色でものを見、女は四原色から五原色など男よりも多色な世界に生きている。男は遺伝子を多量にばらまくよう生殖戦略を取り、女は自己複製子を確実に残せる相手を選ぶよう行動する。男は英雄的行為を取る際、性別や年齢を重要視しないが、女性は自分の子供に対してそれをとる傾向が強い。一夫一妻制は維持にコストがかかるため、生涯を過ごすために値する相手か、それを見分けることに重点が置かれる。乱婚型の生物よりも脳は成長していった。
ダンバー数:気の置けない友達の数は150人程度まで。軍隊組織、狩猟民族の集団、注目しあえる学者間の数、会社の運営人数など、もろもろ150~200人の間が効率よく動ける限界。人がメンタルライジングを駆使できる限界数。
つながり:毛づくろいが言語に進化。言語、方言、趣味、噂話、物語などミームの共通項、人とのつながりのなかで生まれるふれあいが人との信頼性を高める。笑いのエンドルフィン、ふれあい、キス(MHCの相性、血縁淘汰説)、体臭(アンデスタジエノン、イヌイットのキス)、ハグ、会話。信頼ホルモン、オキシトシンの分泌。
ハンディキャップ理論:音楽、ユーモア。。
性:亀やワニは卵がかえるときの周囲の気温で性別が決まる。ミツバチのオスは無精卵から生まれるので1セットだけ。サンゴ礁を墨かとするベラ科の魚は、社会的な状況で性別が決まる。はじめは全員メス。オスがいない状況ではオスに。それが死ぬと他のメスが雄に。地中海に生息するボネリムシ。幼生は雌の体内に定着してオスに変化し、そのまま一生をメスの中ですごす。
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