Contents
- 1 どんな本?
- 2 著者紹介:ダニエル・カーネマン
- 3 感想
- 4 マイケル・ルイス/かくて行動経済学は生まれり | 虹彩の銀河
- 5 https://www.hongo-wataru.com/%E3%83%9E%E3%82%A4%E3%82%B1%E3%83%AB%E3%83%BB%E3%83%AB%E3%82%A4%E3%82%B9%E3%81%8B%E3%81%8F%E3%81%A6%E8%A1%8C%E5%8B%95%E7%B5%8C%E6%B8%88%E5%AD%A6%E3%81%AF%E7%94%9F%E3%81%BE%E3%82%8C%E3%82%8A/
- 6 ピザと10回言ってみる:プライミング効果
- 7 単純化ヒューリスティック
- 8 感情ヒューリスティック
- 9 確証バイアス
- 10 認知容易性
- 11 ハロー効果
- 12 More from my site
- 13 本郷航
- 14 最新記事 by 本郷航 (全て見る)
どんな本?
整理整頓好きの青年が図書館司書である確率は高い? 30ドルを確実にもらうか、80%の確率で45ドルの方がよいか? はたしてあなたは合理的に正しい判断を行なっているか、本書の設問はそれを意識するきっかけとなる。人が判断エラーに陥るパターンや理由を、行動経済学・認知心理学的実験で徹底解明。心理学者にしてノーベル経済学賞受賞の著者が、幸福の感じ方から投資家・起業家の心理までわかりやすく伝える。
著者紹介:ダニエル・カーネマン
ダニエル・カーネマン Daniel Kahneman
認知心理学者。プリンストン大学名誉教授。専門は意思決定論および行動経済学。1934年テルアビブ生まれ。幼少期をパリで過ごし、その後家族とともにパレスチナに移住。エルサレムのヘブライ大学で心理学を学んだ後、イスラエル国防軍心理学部門に勤務。1958年にアメリカに渡り、カリフォルニア大学バークレー校で心理学の博士号を取得。ヘブライ大学などを経て、1993年よりプリンストン大学教授。2002年に、不確実な状況下における意思決定モデル「プロスペクト理論」などを経済学に統合した業績が評価され、心理学者にしてノーベル経済学賞を受賞。日本独自編纂の著作集に『ダニエル・カーネマン 心理と経済を語る』がある。
感想
欧米でベストセラーになっているマイケル・ルイスの「かくて行動経済学は生まれり」。
その主人公の一人にあたるのがダニエル・カーネマンである。
マイケル・ルイス/かくて行動経済学は生まれり | 虹彩の銀河
https://www.hongo-wataru.com/%E3%83%9E%E3%82%A4%E3%82%B1%E3%83%AB%E3%83%BB%E3%83%AB%E3%82%A4%E3%82%B9%E3%81%8B%E3%81%8F%E3%81%A6%E8%A1%8C%E5%8B%95%E7%B5%8C%E6%B8%88%E5%AD%A6%E3%81%AF%E7%94%9F%E3%81%BE%E3%82%8C%E3%82%8A/
一体どんな本? データ分析を武器に、貧乏球団を常勝軍団に作り替えたオークランド・アスレチックスのGMを描いた「マネー・ボール」を上梓した際、「専門家の判断がなぜ彼らの頭の中でゆがめられてしまうのか。それは何年も前に二人の心理学者によって既に説明されている。それをこの著者は知らないのか」との批判的な書評を目にする。それに
人間の脳の反応は2種類あると定義している。
システム1(ファスト):自動的に高速で働き、努力はまったく不要か、必要であってもわずかである。また、自分のほうからコントロールしている感覚は一切ない。
システム2(スロー):複雑な計算など頭を使わなければできない困難な知的活動にしかるべき注意を割り当てる。システム2の働きは、代理、選択、集中などの主観的経験と関連付けられることが多い。
その2つの中で重要なものはシステム1。
人の思考はシステム1から始まる。それは最短の時間で最大の成果をあげれるよう思考を進化させてため。ジャングルや草原にはびこるライオンやチーターなどの圧倒的捕食者の存在に警戒しながら、仲間を守り、エサを確保し繁殖するため、常時即時判断を迫られてきた。その色濃い名残である。論理的で複雑な思考であるシステム2の思考も、システム1のヒューリスティック(簡単に問題を解決しようとする脳の働き)の影響を受ける。したがってシステム1は人間の思考の根幹を担う。
人の脳の使い方は”最小努力の法則”が原則。システム2の熟慮はエネルギーを大きく使うため、出来るだけ頭を使わないようにシステム1で簡単かつファストに考えようとする。
それが何を意味するかといえば、人の思考は一瞬のバイアスに左右され、必ずしも合理的ではない。むしろ感情的である面が多いということ。
ではそれを引き起こすバイアスとヒューリスティックはどのようなものがあるのか。
ピザと10回言ってみる:プライミング効果
あらかじめある事柄を見聞きしておくことにより、別の事柄が覚えやすくなったり、思い出しやすくなることをいう。ここで先に見聞きする事柄をプライムと呼ぶ(影響を受ける別の事柄はターゲットと呼ぶ)。たとえば、連想ゲームをする前に、あらかじめ果物の話をしておくと、赤という言葉から「りんご」や「いちご」が連想されやすくなる。また車の話をしておけば、同じ赤という言葉から「信号」や「スポーツカー」が連想されやすくなる。こうした効果が生じるのは、単語や概念が互いにネットワークを形成しているためだと考えられる。 指導場面では、先に手本を示したり、覚えさせたい事柄について雑談してから教えることで、プライミング効果による学習効率の上昇が期待できる。
例:問い1:あなたは最近どのくらい幸せですか?→問い2:あなたは先月何回デートしましたか?
問い1:あなたは先月何回デートしましたか?→問い2:あなたは最近どのくらい幸せですか?
前者は問い1と問い2の間に相関関係はなし。後者は大きな相関関係がある。
文脈で連想するもの、判断が変わった。
100数十年前の名著、群集心理の中でも似たような考えが示されていた。
“群集の暗示を受けやすく、反復や断言により、物事を軽々しく信じる。
どんなに不偏不党と想像されるものであっても、多くの場合、何かを期待して注意の集中状態にあるために、暗示にはかかりやすい。一度暗示が与えられると、それは感染によって、ただちにあらゆる頭脳に刻み込まれ、即座に感情の転換を起こす。物事を反復する暗示にも弱く、見せかけの類似や連関、心象で軽々しく判断を流される。”
単純化ヒューリスティック
単純化ヒューリスティック:ある男がいる。内気で引っ込み思案、物静かでやさしく、秩序や整理整頓を好み、細かいことにこだわる。スティーブは図書館司書か、それとも農家の人か?
↓
大半の人が図書館司書と答える。文中の要素が図書館司書のステレオタイプに一致するため、しかしアメリカでは男性の支所人に対して農業従事者は20人以上いる。農家の人口がそれだけいればおそらくその人は図書館で座っているよりかはトラクターに乗っている可能性が高い。
Kという文字を思い浮かべよ。Kは、単語の先頭にくるときと3番目に来る場合ではどちらが多いか?
↓
大半の人が、単語の先頭に来る頻度を過大評価する。
感情ヒューリスティック
好き嫌いによって判断が決まってしまうということ。
例:赤身肉が嫌いな人は、固いし栄養がないと言い張る。特定の党派が好きな人はそれだけで心理的に意見を支持しやすくなる。
確証バイアス
信じたことを裏付けようとするバイアスがある。
認知容易性
認知が容易な時、真実だと錯覚し、心地よく感じ、警戒を解く。
ハロー効果
感情的な印象ですべてを評価しようとする。
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