アイデアの作り方

発想法の古典的名著。
広告代理店出身で実業家のジェームズ・ウェブ・ヤングが著者。

氏によればアイデアの原理は2つ。
1:アイデアとは既存の要素の新しい組み合わせ以外の何ものでもない
2:既存の要素を新しい組み合わせに導く才能は、物事の関連性を見つけ出す才能に依存するところが大きい。

アイデアを生み出す過程は5つの段階を経由して行われる。
データ集め→データの租借→データの組み合わせ→ユーレカ(発見した!)の瞬間→アイデアのチェック

上記の過程からアイデアが生じるものであるとするなら、アイデア形成は論理だったプロセスの一貫であり、発想により何かを成し遂げようとする創造的心象、情熱や興味のたまものであるといえる。ある有名な歌手が作詞作曲をどのように行っているのかと聞かれた際、考えに考えぬいたとき、ふとアイディアが降ってくると言っていたことを思い出した。曲を作るという目的の下、意識的に考えた要素と、意識の水面下で見つけた要素とが果実が実を結ぶようにして結実するのであろう。

つまるところ何かを生み出したいのであれば、目的に対して情熱を持ち、その分野に対する情報収集を決して怠らないこと、そうすることで無意識のうちにアイディアは芽吹く。
発想は天才によるものでなく、普段から目的周辺への情報感度を高め、要素を集め、新たな組み合わせを見つける意識的な鍛錬である。

たった1分で相手をやる気にさせる話術ペップトーク

相手のやる気スイッチをオンにし、潜在能力を開花させ、フルパフォーマンスで活躍してもらうための考え方、PEPTALK。
向き合う人の考え方の容認から入っていくのはカウンセリングの常道であり、どの分野も共通しているのだなと思う。
この考え方の重要な点は、相手の立場になってものを考えることと、最も効果的な言葉を選ぶことの2つに集約すると思う。
普段から人の存在を敬い、褒めることを習慣化することで、共感能力や観察力が発達し、いざというタイミングで言葉が出て来るようになるのだろう。

5つのルール

1:ポジティブな言葉
2:短い言葉
3:わかりやすい言葉
4:一番言ってほしい言葉
5:相手の心に火をつける本当のかかわり

4つのステップ

受容(事実の受け入れ)
緊張や不安になることが多い本番前、相手の感情、状況を受け入れ、信頼を得る。
※緊張しているんだね、わかるよ。
※いよいよ決勝戦。相手は全国大会の常連校だ。

承認(捉え方変換)
ダメなこと、ないものにフォーカスしがち。発想を変え、あるものに目を向け、気づきを与え、やる気に火をつける。
※緊張するのは本気の証だよ。
※オレたちには絶対勝つという思いとチームワークがある

行動(してほしい変換)
行動の指示はしてほしくないこと+否定形からしように変換し、相手に成功をイメージさせる
※ミスするな→ベストを尽くそう
※絶対勝つぞ→楽しんでこい

4:激励(背中のひと押し)
最後に熱い言葉、優しい言葉で、相手の背中を押し出して送り出す。
※さあ、行ってこい!
※みんな、ついているからね

ドリルを売るには穴を売れ

マーケティングの入門書。ある中堅商社に勤める主人公が、破たん寸前のイタリアンレストランを再建するマーケティング担当者に任命されるところから物語は始まる。どのようにして理論を実際の現場に応用していくのか、ストーリー&実務ベースで解説した良書。

マーケティング脳の作り方

マーケティングとは顧客にとっての価値に関連するすべてのことであり、作る人、売る人すべてを含んだ全社員の仕事。顧客は、自分が得られる価値が、自分が払う価値(お金・手間・時間)より大きいときに買う。マーケティングは、その不等号を維持・拡大すること。よって、営業戦略、商品戦略、市場調査。あらゆるものが含まれる。アマゾンでものを買うにしても、町のチラシや看板、インターネット広告にもそれらの要素が含まれている。生きた事例は無限にあり、仮に己であればどのように各種戦略を立案するのか、マーケティング脳を鍛えるための発想の千本ノックは、いつでも行うことが可能だ。

理論

マーケティングを構成する基本理論は4つ。ベネフィット、ターゲッティング・セグメンテーション、差別化、4Pである。

ベネフィット:顧客にとっての価値
工具のドリルを売っているとすれば、売り物はドリルだが顧客にとっては、ドリル自体ではなくドリルが明ける「穴」に価値がある。この穴がベネフィット。

ベネフィットには機能的ベネフィットと情緒的ベネフィットがある
機能別ベネフィット:物理的な価値
●早い ●便利 ●うまい
情緒的ベネフィット:情緒的な価値
●優越感・特別扱い ●名誉・ステータス ●思い出・記念

ルイ・ヴィトンのバッグのベネフィット(例)
機能的ベネフィット:収納力が高い、持ちやすい、丈夫で壊れにくい、アフターサービスが良い。
情緒的ベネフィット:かっこいい、ヴィトンを持っている人と思われる、達成感、ごほうび。

価値の源は人間の欲求であり、「生存欲求」、「社会欲求」、「自己欲求」に大別できる。(アルダファーが唱えたマズロー欲求五階層説の修正理論ERG理論より)

セグメンテーションとターゲッティング:顧客をわけて考える
顧客をわけることを「セグメンテーション」、分けられた顧客のグループを「セグメント」と呼ぶ。そしてどのセグメントを狙うか決め、この人たちに売ろうと狙いをつけた顧客を「ターゲット」と呼ぶ。
セグメンテーション:どの層をどこでどう切るか、選ぶかというのが戦略であり、マーケターの腕の見せ所。性別と年齢を軸にした人口統計的セグメンテーション。心理的セグメンテーション(キャズム理論)
ターゲッティング:市場規模の大きさ、競合の激しさと自社の強み、価値の必要度の大きさ等を考慮。

差別化:競合よりも高い価値を提供する
「競合より高い価値」を顧客に提供すること、つまり「提供する価値の競合との差」が差別化。
3つの差別化戦略。手軽軸(早い、安い、便利)商品軸(最新技術、最高品質)密着軸(顧客をよく知っている)

4P:価値を実現するための製品・価格・販路・広告
買い手として何かを買う時に当たり前にしている行動が4P。提供側としては顧客に価値を提供して対価をいただくことを実現させるのが4P。マーケティングで重要なのは4Pの一貫性と差別化戦略とのそれ。
4Pは製品・サービス、広告・販促、販路・チャネル、価格の頭文字。広告・販促で価値を伝え、販路・チャネルで価値を届け、製品・サービスが価値を実現し、価格で対価を得得る。

Product(製品・サービス):これを通じて顧客に価値がもたらされる
どんな顧客の、どのような価値を実現しようとしているのか?という問い。事業領域を決める根本的な質問。
Promotion(広告・販促):製品・サービスの価値を顧客に伝える
買ったことのない人に、よいだろうと感じてもらうこと。キャンペーンや広告なども含めた顧客への認知と購買の促進。(広告メッセージにはERG理論の利用)、サンプリング、イベント、スタンプカード、ポイント、値引き等など。
Place(流通・チャネル):実際に顧客に価値を届ける経路
ざっくり言えばどこで売るのかということ。店舗、営業パーソン、販社・代理店、自動販売機、通信販売。
Price(価格):集金することで会社に価値の対価がもたらされる
顧客にとっての価値が高ければ価値が高くても払うし、価値が低ければいくら安くても買わない。

関連チャート:http://www.sandt.co.jp/book/file.pdf

物語の結論

イル・ソーレ・シチリアーノ 企画概要
●提供する価値・ベネフィット
・仕事の悩みを忘れてリフレッシュ
・都会の中のオアシス、ゆったりと流れる時間
・シチリアの太陽のエネルギーで元気をチャージ

●顧客ターゲット
・ランチ:20代後半の女性を中心としたビジネスパーソン
・午後:主婦・有閑マダム
・夜:20代後半の女性を中心としたビジネスパーソンのグループ

●差別化
・商品軸:シチリアに特化した料理、他店にはない特徴のメニュー
・密着軸:従業員の明るい、陽気な対応

イル・ソーレ・シチリアーノ アイデア
●店名は、「イル・ソーレ・シチリアーノ」。シチリアの太陽という意味。都会から離れ、さんさんと輝く自然の太陽の光を浴びて元気になってほしい、という思いを込めた。

●太陽をイメージした、「ピッツア・デル・ソーレ(太陽のピッツア)」を看板メニューとする。シチリアの自然のトマトソースの赤と、ペペロンチーノオイルの辛さで、シチリアの暑さを連想させる。ピッツアの上に、半熟の卵を落とす演出でお客様を盛り上げる。

●店内も、日当たりの良さを活用し、昼は今まで遮断していた太陽の光を取り込む。テラス席もフル活用する。自然さを出すために、緑の植物などを置く。

●有閑マダム向けの、午後限定のメニューとして、煮詰めたワインにパンをつけて食べる、「ビンコット」を用意。また、シシリアのオレンジを目の前で絞ってジュースにするパフォーマンスをする。

●夜限定のデザートとして、サボテンの実を出す。

●販促とっしては、リピータークーポンを用意し、10枚集めると、ランチ一回無料とする。それからそれから・・・・・

The following two tabs change content below.

本郷航

代表取締役社長/CEOG2株式会社
G2株式会社代表取締役社長。 司馬遼太郎が描いた偉人達、北方謙三らが描いた熱い英雄たちの物語に影響を受け、高校在学中から起業を志す。 大学在学中からさまざまなビジネスに手を出し、株式投資も並行して行う。その後海外向けの高級ガジェット専門店を立ち上げ、売却。 有田焼ギフト専門店(ジェイトピア)を創立。 あらゆる業界人が焼き物を決してネットで売ることはできないと断定する中、業界を代表するECプラットフォームを構築。新垣結衣、櫻井翔主演のドラマ等のスポンサーも。 ネット社会において、本来ブランド力や技術のあるサービス、物などのブランディング、マーケティングによる価値創出を理念とする。