90年代アイドルとして活躍した千葉麗子による著書。
育ちの故郷である福島で起きた原発事故、それを機に反原発運動に参加。
当初は反原発という路線で活動を続けるも、次第に特定の方向性を帯びた思想をもつ閉鎖された人間関係の中で、さらに過激な活動にはまっていく。彼女がその混沌から抜け出し現在にいたるまで。そしてその集団の内実を彼女の視点からことごとく暴露。
現在千葉麗子氏はある右派の団体に所属しているという。
左派から右派への転向ということで、イデオロギーなり政治活動に興味がある人にはうってつけの本であり、マインドコントロールの実例としても興味深い類まれた実体験に基づいた好著。
苫米地英人によるベストセラー、洗脳言論を読んだ後にみるとより理解が深まるかと思う。
人が洗脳されるプロセスと、一定のイデオロギーをもった指導者層が人を良くも悪くも動かしていく様が興味深い。
ただ、この本唯一おしいところが、登場人物の大半がイニシャルで書かれていること。私のような特に政治的イデオロギーのない人、そうした界隈に疎い人にはだれがだれを指しているのかがわからない。
今思えば、東日本大震災の際は私自身は宮城県のある家にいた。
1分半にものぼる激甚な横揺れは、電信柱を左右に揺り動かし、電線を縄跳びのごとく跳躍させた。
立脚していた土地が鳴動することで、青い天そのものものが揺らいでいるかの印象を持ったものだ。
それから数カ月後、仙台の街中である団体を見かける。
反原発の旗印をかかげた何事かの団体が、太鼓を打ち鳴らしながら仙台の街中を闊歩していた。
千葉麗子氏によると、当初の原発団体は福島からの避難者も含めた、イデオロギー色のない活動が多かったらしいが、時とともに政治色が少しずつ強まっていったらしい。
どうも私にはイデオロギーが熱病のように見えてしまう。
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